院長の是好日

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【症例から学ぶ】股関節痛の真の原因:なぜ骨盤だけを治療しても改善しないのか

こんにちは、トラディショナル・オステオパシー内田治療院です。今日は実際の治療事例をもとに、バイオダイナミクスオステオパシーの本質的なアプローチについてお伝えします。多くの方が「痛みのある部分を直接治療する」という発想をお持ちですが、本当の治癒には別の視点が必要です。

患者さんの状態:症状の表面と背景

最近ご来院された患者さんは、股関節の痛みを主訴に整体院に通われていました。整体の先生からは「右の寛骨(骨盤の一部)と仙骨の間にスペースがなく、このままでは骨盤内臓器の圧迫や血流障害を引き起こす可能性がある」と説明されていたそうです。

この診断自体は間違っていません。しかし、ここで重要な問いが生まれます。

「なぜ右の寛骨と仙骨の間にスペースがなくなってしまったのか?」

これこそが、バイオダイナミクスオステオパシーが注目する視点です。

オステオパシーの視点:体の遠隔関係を理解する

オステオパシーでは、寛骨(骨盤)と頭蓋骨の側頭骨には相互関連性があると考えます。つまり、骨盤の問題が実は頭蓋骨の状態を反映している可能性があるのです。

このため、単に「骨盤の歪みを調整する」という対症療法ではなく、その歪みを引き起こした背景にある真の問題を探り、体の自己修復力を引き出すことが重要です。

実際の治療プロセス:体の声に耳を傾ける

この患者さんの治療では、まず触れることから始めます。すると興味深いことに、すぐに前頭前野(前頭葉の一部)と子宮が同時に反応を示しました。これは人間のやる気、意欲に関わってくる反応の一つです。バイオダイナミクスオステオパシーでは、このような「動き」が手に伝わってきます。

治療が進むと、以下のことが分かりました:

  1. 頚椎の動きに制限がある
  2. 呼吸が浅く、十分に行われていない
  3. 頚椎から後頭部にかけての緊張が強い

そこで頚椎から後頭部までの緊張を緩めると、次のような変化が起きました:

  • 胸郭の呼吸が深くなった
  • 腹膜の緊張が緩んでいくのが手に感じられた
  • 最終的に中枢神経系が「お玉杓子のように海の中に浮く」ような状態になった(これはバイオダイナミクスオステオパシーでは基本的な治癒反応です)

治療結果と考察:真の治療とは何か

この患者さんには、治療後に定期的な通院は不要とお伝えしました。なぜなら、体の自己修復メカニズムが適切に活性化されたからです。

ここで多くの方が「治療」に対して持つ考え方とのギャップがあります:

従来の発想: 問題のある部位(この場合は骨盤)を「治す」
オステオパシーの発想: 問題を作り上げた背景にある真の原因を見つけ、自己治癒力を引き出す

なぜ多くの治療が長期化するのか

多くの患者さんの「治療に対する定義」がずれているため、本来シンプルな治癒プロセスが複雑になってしまうことがあります。

  • 症状に対する直接的なアプローチは一時的な緩和をもたらすことはあっても、根本解決にはならないことが多い
  • 身体は単なる部品の集合体ではなく、互いに影響し合う有機的なシステム
  • 「問題を治そう」とする意識よりも、「健康な状態を引き出す」意識が重要

本当の治療とは

バイオダイナミクスオステオパシーでは、問題を直接「修正」するのではなく、問題を作り上げた背景を理解し、体が本来持っている自己修復能力を引き出します。

この事例でお分かりいただけるように、股関節痛という症状の背景には、頭蓋骨や神経系、呼吸など多くの要素が関わっていました。これらの要素の調和が整ったとき、身体は自らを癒す力を発揮するのです。

治療者が患者を治す」のではなく、「患者さん自身の治癒力を引き出す」—これこそが当院の考える本当の治療です。


皆様の体が本来持っている素晴らしい自己治癒力について、もっと知りたい方はぜひ当院にご相談ください。健康は外から与えられるものではなく、内側から湧き出るものなのです。

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