院長の是好日

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反動の原則と静寂

― オステオパシーが考える症状の本当の意味 ―

私がオステオパシーを通して、
長年患者さんの身体に触れてきて感じることがあります。

それは、
身体は決して間違えない
ということです。

人は自分の考えや感情については、
いくらでも勘違いをします。
いくらでも正当化できます。
いくらでも見ないふりができます。

しかし、身体だけは嘘をつきません。


人は「反動」で生きている

人は誰でも、
否定されたとき、傷ついたとき、
心の奥で無意識の反応を起こします。

  • 自分が間違っているはずがない
  • 私は悪くない
  • そんなことを認めたら壊れてしまう

これは弱さではありません。
生き延びるための知恵です。

私はこれを
**「反動」**と呼びます。

反動とは、
心が自分を守るために起こす、
ごく自然な働きです。


反動は、やがて身体に現れる

反動が一時的であれば問題はありません。
しかし長い時間、
人生のあらゆる場面で反動を使い続けると、
心だけでは処理しきれなくなります。

そのとき、
身体が代わりに引き受けます。

  • 原因のはっきりしない不調
  • 繰り返す症状
  • 診断名はついたが腑に落ちない状態

伝統的オステオパシーでは、
これらを失敗とは捉えません。

むしろ、
ここまでよく耐えてきた結果
と捉えます。


症状は、あなたの人生の履歴書

伝統的オステオパシーの立場では、
症状は偶然ではありません。

その人が

  • どんな環境で
  • どんな役割を背負い
  • どんな感情を飲み込み
  • どんな選択をしてきたか

それらがすべて、
身体の組織に静かに刻まれています。

症状とは、
あなたの深層心理の体現であり、
同時にあなたを守り続けてきた結果
でもあります。


良くなろうとするほど、遠ざかる理由

多くの人は言います。

「前向きになろうとしているのに」
「ちゃんと頑張っているのに」
「悪いことなんて考えていないのに」

しかし、
身体に触れながら私が感じるのは、
それ自体が強い反動になっている
という事実です。

  • ちゃんとしなければ
  • いい人でいなければ
  • 弱さを見せてはいけない

その緊張が、
身体の流れを止めているのです。


治療とは、変えることではない

私の治療は、
何かを「治そう」とするものではありません。

  • 正そうとしない
  • 引き上げようとしない
  • 良い方向へ導こうとしない

ただ、
身体が語っていることを邪魔しない
それだけです。

静かに触れ、
待ち、
身体が自分で答えを見つけるのを見守ります。


反動を捨てなくていい

反動をなくそうとすると、
それ自体がまた反動になります。

大切なのは、
反動が起きていることに気づくこと。

  • 自分がどれだけ守ろうとしてきたのか
  • どれだけ耐えてきたのか
  • どれだけ怖かったのか

それに気づいた瞬間、
身体はもう戦う必要がなくなります。


健康とは、到達点ではない

健康は、
頑張って手に入れるものではありません。

本来の自分に戻ったとき、
結果としてそこにあるもの
です。

症状があるということは、
あなたが間違っているという証拠ではありません。

むしろ、
ここまで生き抜いてきた証
なのだと、私は思います。


最後に

もしあなたが今、
長い間同じ症状を抱えているなら、
それはあなたの弱さでも、
努力不足でもありません。

ただ、
身体があなたに
「そろそろ気づいてもいいですよ」
と伝えているだけなのです。

私は治しません。
私は聴きます。
身体が語り終えるまで。

それが、
トラディショナル・オステオパシーという仕事のあり方です。

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