院長の是好日

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頑張っているのに、なぜか良くならない。その理由は「海の底」にあるかもしれません

こんな経験はありませんか。

体に良いと言われることを、ちゃんとやっている。治療にも通った。前向きに考えようと努力もしている。それなのに、症状が良くならない。むしろ、頑張れば頑張るほど空回りして、考えすぎて疲れてしまう——。

今日は、患者様からリクエストをいただいた「潜在意識と顕在意識」、そして「引き寄せの法則」について、私なりの見解をお話しします。先にお伝えしておくと、引き寄せの法則について私は肯定も否定もありません。深く学ばれた方からすれば「理解していないな」と思われる内容かもしれません。あくまでオステオパシーの哲学と比較しながらの、私個人の考えとしてお読みください。

意識は「海」に例えられる

潜在意識とは、普段私たちが意識していない心の領域のことです。無意識の習慣、過去の記憶、気づかないうちに起きている感情や体の反応。一方の顕在意識は、「今日はこれをしよう」と自覚的に考えている、表側の意識です。

オステオパシーの世界では、これを海に例えます。創始者A.T.スティルの弟子であるW.G.サザランドは「オーシャン(海)」という言葉を使い、潮の満ち引きを意味する「タイド」という概念を大切にしました。

表層の、波が立っている部分が顕在意識。そして波ひとつない深い海の底が、潜在意識です。表に見える思考や行動の背景には、見えない心の大部分——海の底——が影響している、と私たちは考えます。

施術を受けている時に、自分がだんだん深く沈んでいくような感覚を覚えたことのある方がいらっしゃると思います。あれは、波のない静けさの領域に意識が同期していく感覚です。表面の波は、私たちの気をそらせる性質を持っています。静けさに同期していくと、テンポはどんどん穏やかになり、何もない静かな領域へと導かれていきます。

私の施術は、海の底に働きかけています

私が普段行っているオステオパシーの施術は、顕在意識ではなく、この潜在意識の領域に働きかけるものです。

人の身体には、過去の歴史が刻まれています。幼い頃に受けた教育、信頼していた大人への不信感、仲の良かった友人との別れ、大人になってからの職場での出来事。時には、言葉にすることも難しいような深く傷ついた経験。そうしたものが中枢神経に記憶され、海の底に蓋をされたまま沈んでいます。

そして大切なのはここです。**何がストレートネックを引き起こしていたのか。何が背骨を曲げ、胃の痛みを作り、不安を生んでいたのか。**関節の位置を正すことも骨盤を整えることも、実はすべて結果論です。その背景にある「潜在意識に刻まれた歴史」にこそ、症状のメッセージが隠れている——私はそう考えています。

「もう解決した問題」から、治療が始まることがある

以前、問診の際に「その問題は、もう自分の中で解決済みなので大丈夫です」とおっしゃった方がいました。私は患者様に何かを求めることはしませんから、「そうなんですね」とだけお返事しました。

ところが施術が始まると、まさにその「解決済み」のはずの場所から、治癒のプロセスが動き始めたのです。施術後、その方はこう言われました。「先生、昔の苦しかった問題が、また出てきちゃった」と。

私は治療の場所を選ぶことができません。私は観察者でしかなく、どこでプロセスが起きるのかに気づいているだけです。頭(顕在意識)では解決したつもりでも、海の底ではまだ解消されていない——そういうことは、実はとても多いのです。

だからオステオパシーの施術を受けた後に、「どうして治療を受けたのにこんな症状が出るんだろう」「どうしてこんな感情が出てくるんだろう」と感じることがあります。それは、蓋をされていたものが掘り起こされている過程かもしれません。そんな時こそ、頭で考えてもがこうとせず、その状態を一度そのまま受け入れてみてほしいのです。

傘を持たない私の話

引き寄せの法則について、ひとつ私自身の体験をお話しします。

私は雨が大嫌いです。オステオパシーの5年制の学校に通うため徳島へ行く時、私は折りたたみ傘を一度も持っていったことがありません。雨が降るという想定そのものを、していないのです。

ある朝、天気予報は雨。みんな傘を持ってきています。「内田先生、傘ないんですか?」「私、雨が嫌いなので大丈夫じゃないですか?」——案の定、雨はざあっと降ってきます。「ほら降ってきたじゃないですか、お昼どうするんですか」「お昼にはきっと晴れますよ」。

これが不思議なことに、本当に晴れるのです。昼に外へ出る時には止み、戻ると降り、帰る時にはまた上がっている。引き寄せの法則がお好きな先生に「これってまさに引き寄せですよね」と言われましたが、私には全く分かりません。意識すらしていないのですから。面白いことに、後半になるとみんな傘を持ってくるのをやめ始めました。「雨が降ったらどうしよう、と考えるのをやめました」と。

私が思うに、「引き寄せよう」と紙に書いたり言葉にしたりすることは、それ自体は良いことだと思うのですが、それは顕在意識の働きになってしまう気がするのです。

空っぽの中で、ただ待つ

私たちの哲学には「エンプティネス(空っぽ)」という概念があります。空っぽの中で、ただただ待ちなさい。向こうからやってくるものを、その空っぽの中で受け取りなさい、と。

本当に望むべきことを、実は私たち自身、分かっていないのだと思います。それは無意識の領域——海の底——にあるからです。

努力することを、一旦やめてみる。相手を変えようとすることも、やめてみる。ただし、待ち方が大事です。静けさの中で待つこと。頑張ることをやめるという意味ではありません。夢中で集中していて、気がついたらこんな時間になっていた——そんな時、人は「頑張ろう」とは思っていませんよね。時計ばかり気にしてしまう時は、方向が違うよと教えてくれているのかもしれません。

そして意識の深いところに変化が起きると、不思議なことが起こります。空を見上げて「今日は気持ちのいい青空だな」と幸せを感じたり、毎日見ている風景の見え方が変わったり、毎日会う人の嫌な部分が気にならなくなったり。無理にではなく、勝手にそうなっていく瞬間が訪れるのです。小さなことに喜びを感じられるようになる——それが、オステオパシーの本来の目的だと私は考えています。

頑張ることに疲れてしまったあなたへ

どこへ行っても良くならない。検査では異常がないと言われた。前向きに考えようと努力するほど苦しくなる。

もしあなたが今そういう場所にいるのなら、それは「もっと頑張れ」のサインではなく、一度立ち止まって、静けさの中で待つタイミングなのかもしれません。

※施術の感じ方や経過には個人差があります。当院の施術は医療機関での検査や治療に代わるものではなく、必要に応じて医療機関の受診をお勧めしています。

このお話は、音声(ラジオ)でもお聴きいただけます。文字では伝わらない「間」や静けさも含めて、私の声で聴いていただけたら嬉しいです。 → [スタンドfm|院長の声を聴く]

同じような状態から変化していかれた方々の体験談は、こちらにまとめています。 → [お客様の声(原因不明・自律神経のカテゴリ)]

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